どんな仕事をしていますか?

船を動かすエンジン、船上の生活に必要な水や電気をつくる機械に、調査用の機器と、船上のあらゆる機械の整備と保守を行っています。 見習いの頃、先生がよく言っていたのが「部屋が汚いやつは機関士に向いていない」ということ。 小さなペンキ剥がれを直したり、少し垂れた油を拭いたり、コツコツと整え続けることが機関士の仕事には大切。 そうやってエンジンの身だしなみを整えてあげると、異変も発見しやすくなります。 船も人と一緒で、日頃から予防をしていれば元気でいられるんです。

入社したきっかけは?

船に乗る科に入ればハワイに行ける。 そんな単純な動機で水産高校に入学しました。 そんなわけで、はじめは機関士という仕事に憧れていたわけでもなかったのですが、実習を進める内に、船の心臓部に触れ、船員の生活を支える機関士の仕事のかっこよさに気づきました。 この会社に出会ったのは、母校の先生がOBだったのがきっかけです。 世界一周の経験や、定期航路の船と違い、世界中に行けるというお話を聞いて、純粋に楽しそうだなと思ったんです。

やりがいってどんなところ?

やっぱり船の生活基盤を自分たちで作っていくことですね。 機械も人間と同じで気分があります。 一乗船で一度はトラブルが起きてしまうのですが、それをきちんと解消できたときにも、やりがいを感じます。 機械の整備に集中する時間も大好きです。 マニアックな話ですが、エンジン燃料の噴射装置は、とても汚れやすいんです。 夢中で手先を動かして、綺麗にできると噴射音が「きゅっ」と鳴るようになります。 その音を聞けると満足しますね。

いちばん印象に残っている仕事は?

有人潜水調査船「しんかい6500」(以下、6K)を着水させるスイマーの仕事です。 ゴムボートで待機し、6Kが船上から海面へ降りてきたら泳いで金具を外しにいくんですが、透き通った海を泳ぎながら感じた底の見えない恐怖と綺麗な景色への感動は、今も忘れられません。 太平洋のど真ん中を泳ぐことも、こんな風に綺麗な景色をたくさん見ることも、この仕事をしていなかったらなかっただろうな、と思います。

休日は何している?

暇さえあればジムに行って筋トレしてます。 さっきお話ししたスイマーの仕事も、体を動かすのが好きで立候補したんです。 複雑に入り組んだ狭いところで作業することも多いんですが、そんな時に体制を支えるのにも筋肉が役立っています。 もちろん全員が私のように鍛えているわけではないですが(笑)。 自然が好きなので、キャンプに行ったりもします。

子どもの時に探求していたものは?

いろんなスポーツをやりながら、勝つための方法をひたすら探求していました。 特にボクシングは、高校生でプロライセンスをとるほど打ち込んでいました。 ここでも、どうすれば速いパンチを打てるかを考え続けていました。 今でも、隙間を見てデッキで腕立てをしたり、船内の見回りをしながら懸垂ができそうな場所を探したりと、その探求精神は変わらないですね。

これからどんな探求がしたい?

どんな不具合が起きても対応できるように、トラブルへの処置能力を高めていきたいです。 インフラを支える中では、ワンミスが命取りになります。 普段の仕事の中で異常を発見する力をもっと身につけないといけないと思っています。 個人の力が高いだけでは大きなトラブルには対応できません。 チームで問題を解決するために、何が起きてもみんなが冷静に対応できる空気を作れる人になりたいですね。 機関士として、無駄なく正確で、綺麗な仕事も探求し続けたい部分です。

トマトバターチキンカレー
キャンプでのカレーは格別です!

PROFILEプロフィール

島田 慶人Keito Shimada

船員(機関士)
2017年入社

2017年、三等機関士として入社。 「よこすか」、「かいれい」、「みらい」、「新青丸」に乗船し、発電機や水を送るポンプなどの保守・整備を担当。 2023年に二等機関士に昇格し、「かいめい」に乗船。 船を推進させるためのエンジンの担当を務める。 水産高校で機関士としての知識は学んでいたものの、調査船独自の機械や整備方法については、入社後に一から学んだ。