世界が競う海底探査の最先端!
知と情熱を結集し、
魅せた日本の「底ヂカラ」。
合言葉は“One-Click Ocean”!
陸から無人ロボットを操作して
人類はどこまで深海を観測できるのか?
XPRIZE、世界各国が名誉と
賞金総額700万ドルを懸けて競い合うこの戦いに、
「Team KUROSHIO」のメンバーとして
参加したNMEの社員たち。
今日は久々に集結し、準優勝を勝ち取った
あの日の思い出話に花を咲かせます。
世界が競う海底探査の最先端!
知と情熱を結集し、
魅せた日本の「底ヂカラ」。
合言葉は“One-Click Ocean”!
陸から無人ロボットを操作して
人類はどこまで深海を観測できるのか?
XPRIZE、世界各国が名誉と
賞金総額700万ドルを懸けて競い合うこの戦いに、
「Team KUROSHIO」のメンバーとして
参加したNMEの社員たち。
今日は久々に集結し、準優勝を勝ち取った
あの日の思い出話に花を咲かせます。
高尾そもそもの始まりは、JAMSTEC・東大生産技術研究所の若手研究者たちに「XPRIZEに出場したいから手伝ってほしい」と声をかけてもらったことなんですよね。 JAMSTECのAUV(※)「うらしま」の運用をしていたのがうちだったから、ぜひ一緒にやってほしいということでした。 私たちとしては、運用やデータ処理周辺の技術的なことをちょっとサポートするぐらいのつもりが、結果的にすごく踏み込んでしまった(笑)。
※AUV: 自律型無人探査機のこと。
片桐人数的にも、確実に40人以上の社員が関わっていますよね。
高尾うん。
片桐最初の関門の技術提案書の提出まではうちからはアドバイス程度だったけれど、実海域でAUVを動かして競い合うラウンド1の準備からは大変でした。
高尾特に、ラウンド1本番までに実海域でのテスト走行を満足にできていなかったので、これはちょっとヤバイんじゃないかと感じていました。 ところが開催予定地であるプエルトリコに超大型ハリケーンが直撃したことで、実海域でのラウンド1本試験がなくなっちゃって。 で、審査員たちが各チームの拠点を順番に回って、実海域ではなくプールで審査してくれることになり。 「こりゃやったぜ!」と心の中で思いました。
片桐あのラウンド1で21チームから9チームに絞られたというのは、なかなかの競争率ではありましたよね。 ただ、そこまでは既存のAUVを使っていたのでまだ楽だった。 ラウンド2からは調査海域の深度がグッと増して、そのAUVは使えないことが分かっていたんです。 それで急遽、新しいAUVを作ることに。
高尾半年間でね。 無謀ですよ。
片桐ありえない。 期間どうこう以前に、そもそもうちってロボット作りよりも運用することの方が多い会社ですし。 でも、力業でやりきった。 終業後にコツコツ設計して、最後は手が空いている社員が総出で浮力材を削って詰めてくれたのが懐かしいです。
倉本あの頃のことですごく良く覚えているのは、ラウンド2のためにみんなで完成させたAUV NEXTを日本の海域で試験させていたら、追尾していた船が追いつけないくらいのスピードで走りだしてしまって、一瞬海の中で見失って、海底にぶつけてしまったこと。 競技ではビークルの速さも大切な要素だったので、AUV NEXTはスピードが出るような設計になっていたのですが、どれぐらいのスピードが出るのかは実際にやってみないとわからない部分がありました。 結果的に回収できたんですけど、見失ったその瞬間はあぁ、これは、本番に持っていく前に失くしちゃうやつだ……って。
高尾いやあれは…… 試験航海から戻ってきた全員が絶望的な顔してた。 終わったなと思った。
倉本それでも奇跡的に回収できたのは、運が向いたというか、みんなの想いが繋がったからのような気がしているんです。
徳長回収したAUV NEXTをラウンド2の会場であるギリシャに運んで、倉本さんたちが現地で組み立ててくれたんですよね。 私は遅れて現地入りし、試験海域のどのあたりを通ればAUVが危険なく走行できて効率良くデータが取得できるか、ルートを推定していました。
高尾私は現地に行かなかったので、ライブカメラでみんなの様子をずっと見ていました。 あぁ、みんな並んで朝の体操してるなぁ、とか。
徳長そんなとこまで見てたんですか(笑)。
高尾でも、本番1回目の走行は失敗してしまって。
徳長そう、試験海域に入る前に「AUVの船からの切り離しができない。 これは失敗する」って判断して、試験を中断した。 一度競技エリアに入っちゃうと24時間のカウントダウンが始まってしまうから、いい判断だったと思います。 それで2回目のチャレンジで、ようやくうまくいって。
片桐私は日本の朝4時にパソコンに張り付いて見守っていました。完走報告が飛んできた瞬間は「やった!」って声が出ましたよ。
徳長地形データを載せたAUVが戻ってきたらようやく私の出番です。データを48時間以内に絵にする「マッピング」という工程。ぶっ続けの作業、非常に疲れました(笑)。
高尾でもそれで、準優勝! 世界二位ですよ。
徳長まぁ、一位がダントツで凄すぎるんですけど(笑)、でも嬉しいですよね。
高尾今更だけど勝因を振り返るとすれば、短期間ですべてを間に合わせで作って、機械そのものには未完成な部分も多かったのをオペレーションでカバーできたからなんじゃないかなと。 NMEはロボットを現場で動かすプロだから、作っている間も動かす場面のこととかデータ処理の効率とか、現実に近いところから考えて運用できたのって大きいですよね。
片桐そうですよね。 そういう自分たちの技量を、外の機関や企業と協働することで再認識できた機会でもあったと思います。 逆にうちも、他社のオペレーション方法を見せてもらったことで、自社の呪縛から解き放たれて柔軟に発想を変えることができた。 もちろん同じチームとはいえ会社ごとの機密もあって教えてもらえないこともあり、でも聞きたいこともあり……そのもどかしさも含めて良い経験になりました。 横の繋がりがたくさんできました。
徳長私は普段の業務でAUVを使うことがなかったので、AUVで潜って海底の近くから地形データを取って来ること自体が魅力的で楽しかったです。 あと、横須賀市が開いてくれた成果報告会で、子どもたちが目をきらきらさせてAUVを見ていたことも印象に残っています。 AUVの模型にみんながメッセージを書き込んでくれたんですけど、「よく頑張ったね!」みたいな、まるでAUVに意思や魂があるかのように見てくれていて。
倉本AUV NEXTの運用は手探りだったからこそ、あの期間自分の考えを色々試せたのがとても楽しかったです。 業務時間外にみんなでAUV NEXTを組み立てたのも、すごく。 ああいう時間が終わっちゃって実は結構寂しい。
高尾AIが発達して社会がこのままDX化されていけば、いつか本当に“One-Click Ocean”な世の中が実現するかもしれない。 私たちはそのはしりとしてXPRIZEを経験したんですよね。 こういうプロジェクト、またやりたいですね。
倉本本当に。 お待ちしています!
総務部兼事業企画部(担当課長)
2005年入社
XPRIZEでは社内における調整・マネジメント業務、社外関係者との調整などサポート役に回り、開発・運用メンバーが存分に力を発揮できるよう尽力した。
深海技術部
2009年入社
XPRIZEではAUVの運用やAUV NEXTの設計・開発に従事した。 ライバル国の動向をAIS(船舶自動識別装置)でなんとか探り出そうとするスパイ活動にも熱を上げたらしい。
深海技術部
2010年入社
XPRIZEのラウンド1では海底地形データ処理に、ラウンド2ではAUV NEXTの組立・運用・データ処理(位置補正)を担当。 実際にギリシャにわたり、決勝を戦った。
海洋地球研究船「みらい」観測技術員
2016年入社(業務譲渡元2000年入社)
XPRIZEでは海底データ処理を担いながら、決勝の地ギリシャでの事前調査、潜航ルートの選定、AUVの位置補正など様々な面で活躍した。